導入事例:東京商工会議所様

PowerCMS X で更新作業の負荷が減り、本来取り組むべき課題に目を向けられるようになりました

東京商工会議所では多様な検定試験を主催しており、検定試験を通じて現代社会に求められる知見を備えた人材の育成と経済社会の発展に努めています。この検定サイトでは、スキルアップを目指し受験をされる方、企業として人材育成に検定を活用しようという方向けに情報発信を行っています。
検定サイトは2022年3月15日にリニューアル公開、その裏側では PowerCMS X をご利用いただいています。今回は、東京商工会議所の青木様・野川様と構築に携わった株式会社イーストクリエイティブの高木様、山田様、新間様にお話を伺いました。

東京商工会議所検定サイト トップページ

東京商工会議所検定サイト
https://kentei.tokyo-cci.or.jp/ 別ウィンドウで開きます

インタビュー日
2022年6月20日

ご担当者様

東京商工会議所
検定事業部 検定センター 主査 青木様
検定事業部 検定センター 野川様
株式会社イーストクリエイティブ 別ウィンドウで開きます
企画営業本部 本部長 高木様
シニアディレクター 山田様
チーフエンジニア 新間様

※以下、敬称略

コロナ禍で改めて見えてきたウェブサイトの重要性とリニューアル課題

東京商工会議所 野川:リニューアルの目的としては大きく2つありました。1つめは情報の整理です。
長年運用している中で、全体的に階層も深くなってしまっていて欲しい情報にたどりつきづらい状態でした。さらに、コロナ禍で注意事項が増え、情報量が多くなっていました。
まずは情報を整理し、トップページからでもすぐに必要な情報にたどりつけるようにしたい、と考えていました。

2つめは、CMS の導入です。
これまでは CMS を使っておらず、修正等が柔軟にできていませんでした。
パソコン向けのサイトとスマホ向けのサイト、それぞれの作業依頼をして更新・確認していたので、これに非常に手間がかかっていました。
CMS の導入を機に、デザインを一新してレスポンシブにするのはもちろん、作業面だけではなく管理側の効率化もしたいと思っていました。

東京商工会議所 青木:2020年の上期、つまり新型コロナウイルス感染症の流行初期は試験がすべて中止になりました。迅速な情報発信が必要になり、定期的な更新作業を依頼するだけではカバーしきれなくなっていました。

事業としてのマイナスももちろんありますが、検定試験という事業の目的は、企業の人材育成やスキルアップをお手伝いすることにあります。
これは、感染症の流行中であっても滞ってはいけない。
どういう形で試験を継続していくか検討を重ねた結果、従来の紙の試験から IBT方式(Internet Based Testing) というネットを使って自宅や会社の会議室から受験できる方式を、2021年からスタートすることになりました。
CBT方式(Computer Based Testing) はかなり増えていますが、まだ IBT方式を導入しているところは少なく、民間の資格試験の中ではレアだと思います。

IBT方式とは、受験者ご自身のパソコン・インターネット環境を利用し、受験いただく試験方式です。 IBT方式では、新型コロナウイルス感染症への感染防止の観点は勿論、台風や豪雨等の自然災害、鉄道・道路等の交通状況にも左右されることなく、試験をお受けいただくことが可能です。

受験前にカメラを通じて本人確認と受験環境の確認を行っていただいたうえで、受験いただきます。

これに伴い、古いサイトの中で新しい情報を載せてみましたが、先に申し上げたとおり、欲しい情報にも見てもらいたい情報にもたどりつけない。
新しい試験方式を始めるにあたり、情報を整理する必要がありました。

機能面だけでなく、サポートへの信頼感も選定理由

東京商工会議所 青木:リニューアルにあたり複数社に提案を依頼しました。
自分たちで修正して管理できることが重要だったので CMS 自体にこだわりはなく、特に CMS を並べて比較するようなことはしませんでしたが、総合的な判断でイーストクリエイティブさんにお願いしました。

イーストクリエイティブ 高木:PowerCMS X については他案件で構築実績がありましたので、基本的な機能が網羅されているのは知っていました。あわせて、私どもはリニューアル前のサイトの運用も担当していたので、運用している中で気をつけなければいけないポイントが PowerCMS X ならカバーできると考えました。
たとえば、セキュリティ要件は厳しめであること、静的で、負荷に耐えやすいサイトでないといけないこと。また、ライブプレビューの機能、ワークフロー、リビジョンあたりの機能が使いやすく、PowerCMS X は後発の CMS である分、そのあたりはよく練られているなと感じていて、今回の案件にマッチしていると思いました。

あと、サポートの手厚さ。すぐに聞けて解決していただけるのはありがたいですね。

イーストクリエイティブ 山田:長年東商様の案件に関わっているため、サイトの性質上ミスが許されないシビアな案件であるということもよくわかっていました。
そういう意味でも、安定したサポートを提供したいと思っていて、サポートがある CMS を選ぶことが重要でした。サポートがしっかりしているということは、イーストクリエイティブとアルファサード(製品サポート)という2つの会社で支えられるというイメージです。

知見を活かしたカスタマイズと設定で、運用負荷を大幅に軽減

イーストクリエイティブ 新間:ダッシュボードをカスタマイズし、1〜2クリックで必要なページへ遷移できるようボタンやリンクを設置しました。製品のドロップダウンメニューからも遷移できますが、そこの学習コストなども考えるとダッシュボードはカスタマイズする価値があると思います。

イーストクリエイティブ 山田:実装の仕方はいろいろあると思いますが、たとえばニュース記事は一元管理しつつ、それぞれの検定のトップページにも表示される仕組みになっています。なるべく実務のフローに沿った登録・更新ができるように作り込みました。

新着情報の一覧ページ
新着情報のページ

あと、受験のお申込み部分は、開発側としては一番注力したところです。
フォーム自体は PowerCMS X の機能は使っていないのですが、このページのすべてが管理画面の項目で管理されています。日付によって申込みの開始・終了の対応ができることに非常に大きな意味があります。

日商簿記検定試験のページ
※2022年8月17日時点の掲載情報です

東京商工会議所 青木:一番感動したのはこの申込みの部分です。
試験の申込期間や試験期間の日程、受付中や終了の表示、試験が終わったあとは次の日程を出すなど、これまでその都度、作業をお願いして更新していたものがすべて自分たちで管理できるようになりました。

今は全部 CMS で管理していて本当にノーストレスです。手作業ではなく、機械的にコントロールできることで、フォームが開くべき時間に開かないといったトラブルも無い。
ライブプレビュー機能で事前に確認できる安心感がすごく大きいですね。ものすごくありがたいです。

イーストクリエイティブ 山田:何をどのタイミングで公開したいのか等、ひとつひとつ要望をしっかりとヒアリングし、その要望に対する答えをきっちり反映できたのは大きかったです。ここは複雑なマトリクスですが、PowerCMS X の知見があることが活かせました。

イーストクリエイティブ 新間:PowerCMS X の標準的なリリースの管理は15分間隔だと思いますが、この案件ではパフォーマンスのテストなどをしっかりしたうえで、公開処理を1分単位にしています。つまり1分の粒度で公開日時を制御できる、ということです。負荷も定期的に見ていますが、問題なく運用できる手応えを感じています。
もちろん、すべてが1分というわけではなくコンテンツごとの重要度を考慮して、5分ごとにしている部分もありますし、負荷を分散して集中しないようにしています。PowerCMS X 標準機能のスクリプトを使って実行時間の調整のみで実現しているので、これまでの経験が活きていると感じます。

少し先の未来が見えるライブレビュー機能を活用

東京商工会議所 青木:リニューアル後は、ウェブサイトの管理更新にかかるコスト感は劇的に改善しました。これは我々だけでなく、イーストクリエイティブさんも同じだと思います。

これまでは、依頼をし作業してもらって確認、場合によっては修正依頼・作業・確認というキャッチボールを繰り返し、OKが出たら本番反映してまた確認。 それをパソコン向けサイトとスマホ向けサイトでそれぞれやっていたのが、今は全部手元で見られます。もっと言うと、ライブプレビューで少し先の未来の状態まで見られる。
これは本当に楽になりました。

不備があったり我々のレギュレーションが変わったりしても、すぐに対応ができます。
受験者に正確な情報をすぐに届けられる、これはすごくありがたいこと。昨年はとてももどかしい思いをしていて、「なんとか明日更新してほしい」等の無理を言ったりもしていました。

イーストクリエイティブ 山田:長年にわたり毎週決まった曜日・時間に手作業での更新があり、直接サーバーにファイルを上げ下げするのはリスクがあるので避けたいところでしたが、サーバ環境を変えることもままならない状況が続いていました。
なので、今回のリニューアルでは、今までの課題を全部解決しようという形でご提案し、実現できて本当によかったと思います。

リビジョン機能やHTML編集など、実用的かつ自由度の高さも魅力

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株式会社イーストクリエイティブ 山田様

イーストクリエイティブ 山田:毎年3月に検定の情報ががらりと変わるタイミングがあるので、データはすべて登録し直しました。
既存サイトの情報を移植しつつ、新しい情報を東商様の方で入力していただきました。青木様が他社の CMS のご利用経験があり HTML の知識もお持ちだったので、かなりおまかせすることができたのは、運がよかったですね。

東京商工会議所 青木:スケジュールもタイトだったので、最後はこちらで確認作業をしながら修正していくという形で進めました。HTML+プレビューで確認しつつ作業できましたし、実際の作業を通じて使い方も覚えていきました。
触ってみると、いろいろと自由度の高い CMS だなと感じました。

実際に使い始めてみると、リビジョン機能がとてもいいですね。差し替えの予約をしておいたり、任意のタイミングで更新できるのが非常に助かっています。

イーストクリエイティブ 新間:PowerCMS X にはいろいろな機能があるのですが、お客様に提示するときに使えるようなデモサイトが簡単に構築できると嬉しいです。さまざまな機能を活かしたページなどの仕込みが大変だなと感じることがあります。

あと、サポートに聞けば教えてもらえるのですが、オンラインドキュメントに載っていないものがあるのでドキュメントの充実はぜひともお願いしたいです。ドキュメントに載っていると自己解決できることもありますし、わかりやすいドキュメントがあると助かりますね。

正確な情報発信とあわせて、もっと進化するウェブサイトへ

東京商工会議所 青木:受験者に正確な情報をお伝えするのはもちろんとして、さらに受験者を増やしていきたいと考えています。
受験者に対して有益な情報、受験を誘発するような情報、もっともっとコンテンツを増やしていく計画です。手元でページを作ることが簡単にできるようになったので、進化していけるサイトになったと感じています。引き続きイーストクリエイティブさんにもサポートいただきながら進めていきたいですね。

イーストクリエイティブ 山田:リニューアル前は、日々の更新作業の細かいことに手をとられてしまい、ウェブサイトを拡充していきたいという話にまで至らなかったのですが、これこそが本来取り組むべきこと。ようやくこういう本質的な部分に目を向けられるようになったということをいま実感していて、とても嬉しい気持ちになっています。

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左から、東京商工会議所 野川様・青木様