2025-04-24
PowerCMS Xの開発、そしてウェブサイト構築・運用案件にも携わっている安倍です。イマドキのフロントエンドに興味があり、Next.jsを使用したブログ構築も経験したことがあります。今日はPowerCMS X利用者目線で記事を書きたいと思います。
ある案件でテーマを利用せず、開発環境で制作したビューを本番環境にコピーアンドペーストで適用していたのですが、誤りなく本番環境に適用しようにも確認がしづらかったり心理的負荷が大きかったりしました。そこで、Theme_GitHubプラグインを利用して本番環境に適用することでリリース作業を行えるようにしました。
Theme_GitHubプラグインの基本的な設定については、「テーマをGitHubで管理する | PowerCMS X」及びそのページからリンクされているページをご覧いただければと思います。
今回の案件では構築時に独自のテーマが適用された状態でした。もしまだテーマが何も適用されていない、もしくは標準テーマが適用されている状態の場合、ビューの一覧からリストアクション「テーマのエクスポート」を実行し、環境変数theme_paths
で指定したディレクトリに配置して、そのテーマを適用します。
その後、本番環境でビューの編集画面にあるベースネーム・ファイルへのリンクを漏れなく設定していきました。%t/news/index.tmpl
のようにディレクトリ名とファイル名をファイルへのリンクに設定すると、テーマエクスポート時に指定したディレクトリ・ファイル名でビューが出力されるので、ビューを判別しやすくなります。(設定しなかった場合はUUIDが利用されます。)
最後に、theme.json
にリポジトリ情報を記述して本番環境に再度適用します。これでGitHubからPullするための設定ができるようになります。何も更新作業がないタイミングを見計らって開発環境にも同一のテーマを適用しました。
本番環境にテーマを再適用すると不具合が起こらないか(具体的には同一のビューと判断されず、ビューの数が増えてしまうのでは?)と心配でした。実際には何も問題は起こらなかったのですが、実装を調べたところテーマ適用時には同一のビューであることを判断する材料として以下の項目が使われるので、重複しないように気を付けてください。
全ての情報をAND条件で検索しておらずOR条件で検索しているので(ベースネームとクラスはAND条件)、名前を変更してもUUIDが同じであれば同じビューと判断されます。ないと思いますが、誤ってUUIDを重複させることがなければ大丈夫です。
各自がローカルに開発環境を持ち、ローカル開発環境でビューを編集してコミット、リリース日にmainブランチにマージして本番環境に適用、とできれば良いのですが、PowerCMS Xのライセンスの問題、さらにクライアントにデータを入力してもらったり表示を確認してもらったりする必要があるため、なかなかそうはできないだろうというのが現状です。
では開発環境でビューを編集してコミットすれば?と思われますが、複数のチケットの更新作業をしているとビューには複数の作業内容が混ざっている可能性があって、単純にはコミットできないケースも予想されます。(TowerのようなGitクライアントだと編集した行を選択してそこだけコミットできるのですが…)
よって、現状では開発環境のビューを手元でマージしてGitHubにPushしています。(実装作業中はチケット毎にブランチを切って保存しておくのも良いかも。)Next.jsを触った経験も踏まえ、本番環境のブランチにマージするまでの工程で何かイノベーションを起こせないかとずっと考えているのですが、なかなか良いアイデアが浮かびません。
開発環境でビューの一覧からリストアクション「テーマのエクスポート」を実行します。そして、views
の中にある新規追加したテンプレートファイルをリポジトリのviews
内に配置します。そして、theme.json
内の新規追加したビューに関する情報(下記のようなコード)をリポジトリのtheme.json
にマージしてコミットします。
"000d9725-9d3a-479e-8467-b3cbae9c5b56": {
"name": "記事一覧",
"subject": "",
"status": "2",
"class": "Archive",
"basename": "entry_list",
"linked_file": "%t/news/entry_list.tmpl",
"urlmappings": [
{
"name": "記事一覧",
"model": "template",
"mapping": "news\/index.html",
"date_based": "",
"publish_file": "1",
"container": "entry",
"container_scope": "1",
"trigger_scope": "0"
}
]
}
これを本番環境に適用すると、ビュー・URLマップが新しく追加されます。
開発環境のビューの内容をリポジトリのviews
内にある該当ファイルに反映します。これをコミットして本番環境に適用するとビューが更新されます。更新前の状態はリビジョンに残ります。
リポジトリのviews
内にある該当ファイルを削除します。さらにtheme.json
内にある当該ビュー・URLマップの情報を削除してコミットします。
これを本番環境に適用するとビュー・URLマップが消えて欲しいのですが…、現状は消えません。theme.json
を上からなぞって処理するだけだと削除したという情報が得られないからだと考えます。(1つ前のtheme.json
と比較する必要があるということ。)これは製品の検討課題でしょうか。とりあえず手動で削除処理をしています。
powercmsx/support/themes/pull/[ワークスペースID]
に格納されますtheme.json
を上からなぞって処理・保存していくので、全てのビュー・URLマップの更新日時が変わりますTheme_GitHubプラグインを利用した運用を、利用者目線でまとめてみました。環境や運用状況に合わせて適宜調整しながらお試し頂ければと思います。本番環境は誤りの無い確実な操作が求められるので、私はテーマ化して本当に楽になったなと感じます。あとは更新方法を関係者に確実に共有しておくことが大事だと考えています。
カテゴリー:技術情報
投稿者:安倍
2025-01-01
PowerCMS X および 有償のオプションプラグインには、サポートライセンスがあります。
これは、文字通り各製品に関するサポートを受けるためのライセンスです。製品に関する機能や仕様、不具合などに関する問い合わせやそのサポートが受けられる他、サポート期間内にリリースされたアップデータ、新バージョン、新たに製品に同梱されたプラグインを無償でご利用いただけます。サポートの内容に関する詳細は「PowerCMS X サポートについて」のページでご案内しています。
ライセンスを購入した直後の1年のサポートはソフトウェアライセンス費用に含まれており、翌年の購入月の月末までが有効期限となります。つまり 2024年3月7日にご購入いただいた場合は、2025年3月末日がサポート期限となります。
2年目以降のサポートライセンスは、ライセンス価格の20%で提供しています。「価格」のページにてご確認ください。
サポートライセンスは自動更新となりますので、更新されない場合は、お持ちのサポートライセンスの有効期限が切れる30日前までに停止の手続きをお願いいたします。
いったんサポートが途切れたあとにもう一度サポートを受けたい場合は、未契約期間もさかのぼって途切れた時点から現在までとそこから1年の費用が発生します。
サポートライセンスを更新しているかぎり、製品のメジャーバージョンアップ時も買い直しの必要はなく最新の製品が利用できます。
製品のメジャーバージョンアップや、製品サポートへのご質問などサポート全般のご利用ができなくなります。Multi 以上で提供している Backlog プロジェクトによるサポートも利用できません。また、個別の追加機能開発なども承ることができません。
ただし、サポートライセンスが切れている場合でも、セキュリティアップデートのための最新版 (マイナーバージョン) パッケージをダウンロードしていただくことは可能ですが、その時点でサポートが終了しているバージョンには対応できません。
できれば、窓口を変更される前にご一報ください。
導入時に代理店・制作会社様が代行して申し込まれたライセンスの場合、エンドユーザー様に対する一次サポートは代理店が行うものとしています。つまり、我々は、エンドユーザー様を直接サポートすることはなく、もちろん他社からのお問い合わせもサポートできません。
この場合はエンドユーザー様もしくは運用保守を担当される会社様に窓口を変更し、サポートライセンスをご購入いただく必要があります。
サポートが有効かどうかわからない、切れてしまったサポートを更新したいなどサポートライセンスにまつわるお問い合わせは、ライセンスコードを添えて問い合わせフォームよりご連絡ください。
カテゴリー:サポート
投稿者:Masaki
2024-12-25
今年も残すところあと5日+数時間となりました。やさしい日本語 Advent Calendar 2024の締めくくりは、今年のやさしい日本語関連の活動を振り返ってみたいと思います。
まず初めはこちらです。いきなりの元日の大地震と津波の被害、1年近くが経とうとしていますが、まだまだ復興への道は長い状態であると聞きます。
1月1日に発生した能登半島地震、元々1995年の阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)由来の「やさしい日本語」はどう活用されたのか。SNSやメディアの情報からまとめてみました。1月24日に公開しました。
順序が逆になりますが、地震の被害を見て、自分たちに何ができるだろうか? という思いから思い立ち、伝えるウェブ アイコン別ウィンドウで開きますで提供している「やさしい日本語エディタ」を無償公開することにしました。1月10日に公開しています。
どのみち3月末までは無料キャンペーン期間なのですが、伝えるウェブは、外部のユーザーがサインアップするような仕組みを持たないため、PowerCMS Xを新規にインストールし、そこにサインアップの仕組みをプラグインとして実装し、丸1日でサービスを立ち上げました。キャンペーンそのものも被災地を対象に無期限延長中です。伝えるウェブにはない、多言語翻訳支援エディタも利用できるようにしていて、やさしい日本語だけではなく、母語での情報伝達にも役立ててもらおうという思いから提供しました。PowerCMS Xの Microsoft Translatorプラグイン アイコン別ウィンドウで開きますを使っています。
このエディタでできること
- 作成した文章にワンクリックですべての漢字にふりがなを追加します。
- 作成した文章のやさしい日本語化、わかち書きが行えます。
- 作成した文章を AIによって他の言語に翻訳できます。
- 翻訳前に原文の難易度を確認したり、逆翻訳結果との比較などが行えます。
- 簡単なレイアウトをエディタ上で行えます。
- エディタから Microsoft Wordにふりがな付きのテキストをコピー & ペーストできます。
- 作成した文章を「画像」「PDF」「Microsoft Word文書」「MP3音声」として書き出すことができます。
エディタの無償公開と同時に思いついたのが、伝えるウェブを使ったリンク集の公開です。伝えるウェブでは、「翻訳をためす」ページがあり、URLを入力するとやさしい日本語変換を試すことができます。ただ、説明って届きにくいのです。なので、リンク集ページに「やさしい日本語」「ふりがな」のリンクを付けたものを公開することにしました。また、被災地向けにキャンペーンの延長をすることにしました。1月31日に公開しています。
表向けの活動ではないのですが、聖学院高等学校の「現代社会探究(協力 : NPO法人ROJEの関東まなびプロジェクト)」の授業にお呼びいただきまして、2月27日に登壇いたしました。
この授業は、「伝えると伝わるの違いを理解」して「商品開発に挑戦しよう」というテーマで行われました。
「身の周りにある「伝わらない」を支える商品」を考えるというテーマから、授業に協力しているNPO法人ROJEの関東まなびプロジェクトの方がアルファサードの「伝えるウェブ アイコン別ウィンドウで開きます」に興味を持っていただいたことで、この授業が実現しました。
この時の様子はアルファサードのウェブサイトで公開しています。
今年は1月18日に朝日新聞グループに加わるという当社としては大きなニュースがあったのですが、その絡みもあって朝日新聞のポッドキャストに出演させていただきました。やさしい日本語をテーマにして話しました。収録は築地の朝日新聞本社で行われました。音声は4月1日と4月2日の2回に分けて配信されました。
今年は SmartHRさんの「やさしい日本語対応」や、取り組みの話題が目立ちました。民間企業での取り組みはまだまだ広がりつつあるとも呼べない状況ですが、そのSmartHRさんに声をかけていただきまして、オンラインでのウェビナーを開催しました。動画が公開されていますので、よろしければご覧ください。
毎年5月の第3木曜日は、GAAD (Global Accessibility Awareness Day) の日。世界各地でデジタル分野 (Web、ソフトウェア、モバイルなど) の「アクセシビリティ」を啓発する一日で、今年もオンラインセミナーが開催されます。
GAAD Japan (ぎゃーど・じゃぱんと読みます)、オンライン開催でしたが、パブリックビューイングなどもあって盛り上がりました。最後のセッションを担当させていただきました。当日は大阪会場のパブリックビューイング会場で他の方のお話を聞き、出番になった時にアルファサードの大阪オフィスに行って、そこから配信しました。「情報保障とやさしい日本語」というお題で、特にアクセシビリティには興味があって取り組んでいるが、やさしい日本語についてはあまり詳しくない、といった方をターゲットにしたセッションにしました。スライドシェアでスライド公開しています。タイムリーなことに、動画も本日公開されたようです。
5月18日に神戸市で開催された「アクセシビリティの祭典 2024」(主催:チームアイコラボ、事務局:NPO法人アイ・コラボレーション神戸) に、プラチナスポンサーとして協賛し「現在の取り組みと、10年後のアクセシビリティについて」をテーマに登壇いたしますしました。
久しぶりのリアル開催となりました。セッションでは、特にやさしい日本語に偏った話はしなかったのですが、新たに4月から就任した朝日新聞社CTO室技術顧問としての取り組み状況やこれからの予定を「組織に「アクセシビリティ」をインストールする」というお題でお話しさせていただきました。主催の板垣さんが、しばらくお休みする、とおっしゃったのに少し驚きました。また再開されたら協力させていただきたいと思います。
「Interop Tokyo 2024」(6月12日から14日)、「自治体・公共Week2024」(6月26日から28日)、「未来の先生フォーラム2024」(9月14日から15日)の 3つのリアル展示会に出展しました(Interop Tokyo 2024は W3Cブース内)。いわゆる、出展者が有償でブースを出すタイプの展示会です。未来の先生フォーラム以外は私も現地に行きました。
9月から、朝日新聞社とグループ会社の社員向けに、内部勉強会・ワークショップを開催しています。2回目のテーマを「やさしい日本語」にしました。一般社団法人やさしい日本語普及連絡会代表理事の吉開 章さんと、通訳会社で働く 高 柏(こう はく)さんをゲストに迎えて10月10日に開催しました。
11月30日に開催されたアクセシビリティカンファレンス福岡2024にも呼んでいただきました。こちらも最後のセッションを担当させえていただきました。テーマを「選挙のアクセシビリティ」としました。アクセシビリティの祭典と同じくやさしい日本語に偏った話ではなかったのですが、投票所でのやさしい日本語の活用なども取り上げました。
朝日新聞SDGs ACTION!に記事を2本寄稿しました。やさしい日本語について(12月17日)と、ウェブアクセシビリティ(12月3日)についてです。
この記事が最後になりますが、いくつかの Advent Calendar に記事を書きました。
書き言葉と話し言葉の違いというか、耳で聞いてわかりやすい言葉を選ぼう、という視点の記事です。書き言葉でも、スクリーンリーダーとか利用することもあるわけですから。
機械処理でのやさしい日本語における文末処理の実装にかかわる技術的な記事を書きました。少し変わった視点の記事かと思います。2つの特許に関する言及もしています。
福岡のカンファレンス、情報を詰め込みすぎて最後まで終えられなかったのですが、先日ブログ記事に内容を纏めて公開しました(12月21日公開)。多分、人生最大ボリュームのBlogポストになりました。ぜひお読みいただきたいと思います。
最後になりますが、やさしい日本語の話題ではありませんが、このブログは PowerCMS Xブログですので、PowerCMS X Advent Calendar 2024もご紹介しておきます。
今年のトピックはこんなもんでしょうか。来年も引き続き発信していきたいと思います。
カテゴリー:コラム・その他
投稿者:Junnama Noda