PowerCMS X ブログ

2023-09-11

BannedWordsプラグインによる新しい校正支援機能について

BannedWords プラグインは、禁止ワードチェック・表記揺れの修正をサポートします。オブジェクト保存時に置換を行うことが可能で、禁止ワードを含むオブジェクトの保存を制限することもできます。

元々は、ウェブサイトごとに統一したい表記揺れのパターンをプラグイン設定画面で登録して利用するものでしたが、PowerCMS X ver.3.5のリリースに合わせて大幅に機能強化され、強力な校正支援ツールとして利用できるようになりました。

開発の背景

2021年(令和3年)3月に「新しい「公用文作成の要領」に向けて(報告)」が第76回文化審議会国語分科会において取りまとめられました(以下「新要領」と言います)。
PowerCMS Xの新しい校正支援機能においては、この「新要領」として新たにルールが示された、より読みやすくわかりやすいルールに沿って文章を自動的にチェックし、修正候補箇所をわかりやすく提案します。

また、独自に開発した「やさしい日本語化」機能を「伝えるウェブ」や、PowerCMS Xの「やさしい日本語」エディタとして提供してきましたが、この機能のうち、校正支援に利用できるロジックを切り出して、文末表現やあいまいな表現をよりわかりやすくはっきりとした表現に統一する機能としてプラグインに追加しました。

校正支援機能

漢字の利用

原則的には常用漢字外の漢字をひらがなに修正するように提案します(固有名詞は除く)。

校正支援機能では、常用漢字であっても、一部の漢字についてはひらがなで表現するように修正を促します。

以下に例を挙げます。

  • 御指導 → ご指導、 御参加 → ご参加
  • 及び → および、 又は → または 
  • 並びに → ならびに、若しくは → もしくは
  • 飽くまで → あくまで、 余り → あまり
  • 既に → すでに、 直ちに → ただちに

常用漢字の例外(漢字をひらがなに修正)

校正支援機能では、さらに、常用漢字であっても何年生で習う感じであるかを確認したり、利用する漢字を例えば小学校で習う漢字のみに限定するような設定もできるようになっています。

学年ごとの漢字レベル

ふりがな機能と組み合わせて、例えば「中学校で習う漢字にはふりがなをつける」というようなルール化も可能です。

公用文表記と学校教育の「ズレ」を吸収する

公用文では読み間違えることのない複合名詞の送り仮名を省略するという原則がありました。「受け入れ」「明け渡し」「打ち合わせ」ではなく、「受入れ」「明渡し」「打合せ」となります。

この、複合名詞186の送り仮名について、新要領では一般的な用法(学校で習う送り仮名を省略しない表記)で書くことができる、とされています。校正支援機能では、どちらに統一するかを設定で選択できます。送り仮名を省略すると漢字が多く「硬い」印象になります。一般的な用法に統一することをお勧めします。

以下に例を挙げます。

  • 明渡し → 明け渡し
  • 預り金 → 預かり金
  • 言渡し → 言い渡し
  • 打合せ → 打ち合わせ

省略された送り仮名を指摘

「常体(だ・である)」と「敬体(です・ます)」

文末表現を統一します。「常体(だ・である)」と「敬体(です・ます)」のどちらかを選択できます。「敬体(です・ます)」を推奨します。読み手に与える印象は柔らかく、丁寧であることを印象づけることが可能であるだけでなく、「やさしい日本語」でも、「敬体(です・ます)」への統一が推奨されています(外国人が日本語を習う時、です、ます調から学習します)。

敬体(です・ます)への統一

※ 体言止めについては、「体言止めを許可する」にチェックを入れることで変換の対象外になります。

曖昧さを排除する

文章の曖昧さを排除するような変換を行うことができます。

  • 文末の「〜ましょう・でしょう」の言い換え※「敬体(です・ます)」統一時のみ
  • 文末の「〜かもしれない・かもしれません」の言い換え※「敬体(です・ます)」統一時のみ
  • 可能動詞を「基本形+ことができる」に言い換え
  • 終助詞の「ね」「さ」「よ」「ぜ」「な」を削除
  • 文末以外の省略可能な副詞を削除

以下に例を挙げます。

  • 避難しましょう。→避難してください。
  • 私が東京へ行きましょう。→私が東京へ行きます。
  • 優勝するのはタイガースかもしれません。→優勝するのはタイガースだと思います。
  • 大丈夫、歩けます。→大丈夫、歩くことができます。
  • まるで魔法のようだ。→魔法のようです。

曖昧さの排除の例

ら抜きことば、さ入れことばの修正

間違った日本語の使い方の例としてよく取り上げられるものに必要な「ら」を抜いてしまう「ら抜き言葉」や不要な「さ」を入れてしまう「さ入れ言葉」があります。

  • 食べれる→食べられる
  • 着れる→着られる
  • このようなケースが見れる→このようなケースが見られる
  • 歌わさせていただきます→歌わせていただきます
  • 置かさせていただきます→置かせていただきます

「ら抜き」「さ入れ」言葉の修正

時刻の表記の統一、和暦の西暦への変換

和暦は外国人には馴染みが薄く、理解しにくいほか、時刻も午前、午後、24時間表記などが混在すると理解しにくいことが考えられるため、和暦は西暦に、時間表記は午前・午後ありの12時間表記に統一することができます。

  • 明朝4時キックオフです。→明日の朝、午前4時キックオフです。
  • 令和5年9月に開始されます。→2023年9月に開始されます。

和暦の西暦変換と時刻表記の統一

表記揺れの統一

ひとつの文章の中で、送り仮名の付け方が統一されていなかったり、漢字とひらがなで書かれたものが混在しているようなケースを統一します。

表記揺れの統一

すべての校正支援機能の一覧

各々の処理は、すべて設定で ON/OFFできます。

  • 常用漢字に含まれない漢字を含む単語をひらがなにする(小学校1〜6年、中学校までのレベルをあわせて設定できます)
  • 異体字を正規化する(常用漢字に含まれない異体字を置き換えます)
  • 送り仮名の省略(公文書表記における省略された複合名詞の送り仮名 (186語) を修正、または複合名詞の送り仮名を省略します)
  • 文末表現を常体・敬体に統一する(敬体の時体言止めを許可するかどうかを指定できます)
  • 文末の「〜ましょう・でしょう」を言い換える(文章を敬体に統一する時、文末の「〜ましょう・でしょう」を曖昧でない表現に言い換える指定ができます)
  • 文末の「〜かもしれない・かもしれません」を言い換える(文章を敬体に統一する時、文末の「〜かもしれない・かもしれません」を曖昧でない表現に言い換える指定ができます)
  • 終助詞の「ね」「さ」「よ」「ぜ」「な」を削除する(文章を敬体または常体に統一する時のみ有効)
  • 接続詞、一部の副詞、接尾辞・助詞・助動詞、接頭詞「御」をひらがなに展開します
  • 表記揺れを統一します
  • ら抜き言葉を修正します
  • さ入れ言葉を修正します
  • 文末以外の省略可能な副詞を削除します
  • 可能動詞を「基本形+ことができる」に変換(会えます→会うことができる)します
  • 24時間表記を「午前」「午後」を付けた12時間表記に変換します。
  • 和暦を西暦に変換します

 

カテゴリー:技術情報

投稿者:Junnama Noda

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