PowerCMS X向けDocker開発環境構築ガイド

ローカルでPowerCMS Xの開発環境を構築したいと思ったことはないでしょうか。いくつか手段がありますが、この記事ではDockerで構築する方法をご紹介します。Dockerを使うことで、複雑な環境設定を行わずに、すぐにPowerCMS Xをお試しいただくことができます。

目次

1. Docker環境について
2. システム要件
3. 事前準備
4. ディレクトリ構成
5. コンテナ構成図
6. 環境構築手順
7. Docker環境固有の設定値
8. 動作確認
9. 日常的な操作

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Docker環境について

Dockerとは？

Dockerは、アプリケーションを「コンテナ」という軽量な仮想環境で動かすためのツールです。従来の環境構築では、PHP、MySQL、Apacheなどを個別にインストールする必要がありましたが、Dockerを使えば、これらすべてが設定済みの環境を簡単に起動できます。

この環境の特徴

• 環境構築が簡単: 複雑なインストール作業が不要
• 環境の再現性: 誰でも同じ環境を構築できる
• クリーンな環境: PCの環境を汚さずに試せる

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システム要件

必要なソフトウェア

• Docker Desktop (Windows/Mac)
  • Docker Compose v2 以降が含まれています
• 最小メモリ: 4GB以上(推奨: 8GB以上)
• ディスク容量: 10GB以上の空き容量

対応OS

• macOS 10.15 以降
• Windows 10/11 Pro, Enterprise, Education (WSL2対応)

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事前準備

1. Docker Desktopのインストール

macOS / Windows

1. Docker公式サイトからDocker Desktopをダウンロード
2. インストーラーを実行
3. インストール完了後、Docker Desktopを起動

2. インストール確認

ターミナル(コマンドプロンプト)で以下を実行:

docker --version
docker compose version

正しくインストールされていれば、バージョン情報が表示されます。

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ディレクトリ構成

DockerDev/
├── docker-compose.yml          # Docker Compose設定ファイル
├── html/                       # ウェブコンテンツ(静的ファイル)配置先
└── powercmsx/
    ├── Dockerfile              # PowerCMS Xコンテナの設計図
    ├── supervisord.conf        # プロセス管理設定
    ├── crontab                 # 定期実行タスク設定
    ├── mecab-0.996.tar.gz     # MeCabソースファイル
    ├── mecab-ipadic-2.7.0-20070801.tar.gz  # MeCab辞書
    ├── app/                    # PowerCMS Xアプリケーション本体を配置
    │   ├── config.json        # アプリケーション設定
    │   └── db-config.php      # データベース接続設定
    └── log/                    # ログファイル

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コンテナ構成図

このDocker環境では、以下のコンテナ(サービス)が起動します。

各コンテナの役割

コンテナ名	役割	主なソフトウェア
powercmsx	Webアプリケーションサーバー	Apache, PHP, PHP-FPM, SearchEstraier, MeCab
mysql	データベースサーバー	MySQL 8.0
phpmyadmin	データベース管理ツール	phpMyAdmin
mailpit	メール送信テスト環境	MailPit (SMTP + Web UI)

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環境構築手順

ステップ1: プロジェクトディレクトリの作成

# プロジェクトのルートディレクトリを作成
mkdir DockerDev
cd DockerDev
# 必要なディレクトリを作成
mkdir -p powercmsx/app
mkdir -p powercmsx/log
mkdir -p html

ステップ2: Docker設定ファイルの配置

docker_powercmsx.zipを解凍し、展開されたファイルをプロジェクトのルートディレクトリに配置してください。

ステップ3: Dockerイメージのビルド

# DockerDevディレクトリで実行
cd DockerDev
# イメージをビルド(初回は5-10分程度かかります)
docker compose build

ビルド中、以下のコンポーネントがコンパイル・インストールされます:

• QDBM(データベースライブラリ)
• MeCab(形態素解析エンジン)
• Hyper Estraier(全文検索エンジン)
• PHP MeCab拡張

ステップ4: コンテナの起動

# バックグラウンドで起動
docker compose up -d
# ログを確認したい場合
docker compose up

起動確認:

docker compose ps

正常に起動していれば、4つのコンテナが running 状態になります。

ステップ5: PowerCMS Xアプリケーションの配置

/powercmsx/app/ディレクトリにpowercmsxアプリケーションファイルを配置してください。

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Docker環境固有の設定値

db-config.php

<?php
define( 'PADO_DB_NAME', 'powercmsx' );
define( 'PADO_DB_HOST', 'mysql' );         // ホスト名はコンテナ名
define( 'PADO_DB_USER', 'powercmsx' );
define( 'PADO_DB_PASSWORD', 'password' );
define( 'PADO_DB_PORT', '3306' );
define( 'PADO_DB_BLOB2FILE', true );
define( 'PADO_DB_BLOBPATH', '/var/www/powercmsx/pado_blob' );

セキュリティ注意: 本番環境では必ず強力なパスワードを設定してください。

config.json

{
  "allowed_domains": ["localhost", "localhost:8080"],
  "php_binary": "/usr/bin/php",
  "logging"   : true,
  "set_names" : true,
  "temp_dir": "/var/www/powercmsx/tmp",
  "work_dir": "/var/www/powercmsx/tmp",
  "support_dir": "/var/www/powercmsx/support",
  "log_dir": "/var/www/powercmsx/log",
  "pt_check_test_email": false,
  "mail_transfer": null,
  "mail_encoding": "UTF-8",
  "mail_language": "uni",
  "mirroring_lftp_path": "/usr/bin/lftp"
}

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動作確認

1. PowerCMS X

ブラウザで以下にアクセス:

http://localhost:8080/app/

2. phpMyAdminでデータベースを作成

ステップ1: phpMyAdminにアクセス

ブラウザで以下にアクセス:

http://localhost:8081

ログイン情報:

• サーバー: mysql
• ユーザー名: root
• パスワード: (空欄)

ステップ2: データベースを作成

1. 上部メニューの「データベース」タブをクリック
2. 「データベースを作成する」セクションで以下を入力:
   • データベース名: powercmsx
   • 照合順序: utf8mb4_unicode_ci
3. 「作成」ボタンをクリック

ステップ3: ユーザーを作成

1. 上部メニューの「ユーザーアカウント」タブをクリック
2. 「新規追加」をクリック
3. 以下の情報を入力:
   • ユーザー名: powercmsx
   • ホスト名: %
   • パスワード: password
   • パスワードの確認: password
4. 「データベース powercmsx」セクションで:
   • 「データベース "powercmsx" の全ての権限を与える」にチェック
5. 画面下部の「実行」ボタンをクリック

セキュリティ注意: 本番環境では必ず強力なパスワードを設定してください。

3. MailPit(メール送信テスト)

メール確認画面:

http://localhost:8025

PowerCMS Xから送信されたメールがここで確認できます。

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日常的な操作

コンテナの起動・停止

# 起動
docker compose up -d
# 停止
docker compose down
# 再起動
docker compose restart
# 特定のコンテナだけ再起動
docker compose restart powercmsx

ログの確認

# 全コンテナのログ
docker compose logs
# 特定のコンテナのログ
docker compose logs powercmsx
# リアルタイムでログを表示
docker compose logs -f powercmsx

コンテナ内でコマンド実行

# bashシェルに入る
docker compose exec powercmsx bash
# PHPコマンドを実行
docker compose exec powercmsx php -v
# MySQLに接続
docker compose exec mysql mysql -u root powercmsx

ファイルの編集

ホスト側で以下のディレクトリを編集すると、即座にコンテナに反映されます:

• powercmsx/app/ - アプリケーションファイル
• powercmsx/log/ - ログファイル
• html/ - 静的ウェブコンテンツ

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まとめ

Docker環境を一度構築しておくことで、以下を実現できます。

• ワンコマンドで起動する開発環境
• チーム全員が同じ環境で開発可能
• ホストマシンをクリーンに保つ

PowerCMS Xでは、開発者ライセンスも提供しておりますので、開発者個人のスキルアップや検証環境としてぜひご活用ください。

• 開発者ライセンスとはなんですか？開発に使えますか？
• 開発者ライセンスを活用する

カテゴリー：コラム・その他

投稿者：fukuda